エクソソームとは?
エクソソームとは細胞から分泌される直径50-150 nm(ナノメートル:10億分の1メートル)の顆粒状の物質です。その表面には細胞膜由来の脂質、タンパク質を含み、内部には核酸(マイクロRNA、メッセンジャーRNA、DNAなど)やタンパク質など細胞内の物質を含んでいます。近年の研究でエクソソームは細胞間の情報伝達の役割を担っていることがわかってきました。エクソソームには良い情報を伝達して細胞の修復や再生をする働きがあることから、がんなどの病気治療や美容分野で注目が高まっています。
●がん治療
正常なエクソソームには傷ついた細胞を見つけて修復をしようとする機能があります。この機能を利用してがん細胞にアプローチすることができれば、癌の治療が可能なのではないかと考えられています。一方で、がん細胞からもエクソソームが分泌されていて、細胞の生存、悪性化、転移などに関与し、がん細胞に有利に働くように機能していると考えられています。これを抑制してがんの転移や再発を防ぐ研究が行われています。
●美容
細胞の元となる幹細胞のエクソソームには成長因子が豊富に含まれています。エクソソームが肌のコラーゲンやエラスチンを作りだす土台となる線維芽細胞に働きかけて、肌の細胞自体の若返りを促すことがわかってきています。
●病気の診断
細胞から分泌されるエクソソームは分泌元の細胞の特徴を反映しており、かつ血液などの体液中に存在していることから、病気の診断に使えるのではないかとも考えられています。