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中医薬のふるさと、神農架の魅力

2025/02/10

中医薬のふるさと、神農架の魅力

 神農架(しんのうか) は、中国・湖北省にある自然保護区で、豊かな生態系と伝説が息づく神秘的な山岳地帯です。世界自然遺産とユネスコ生物圏保護区に登録され、世界でも重要な自然保護区です。中国国内では唯一「林区」に指定され、広大な森林地帯を国が直轄しています。 
 広大な林区は、独特な地形を有し、さまざまなタイプの森林地帯があり、孫悟空のモデルといわれる金糸猴(キンシコウ)やオオサンショウウオ、ウンピョウなど数多くの固有種、絶滅危惧種が生息しており、野生動物や植物の宝庫と言われています。
 神農架は「薬祖の郷」と称され、多様な薬用植物が自生しています。伝説によれば、中国人の始祖である炎帝神農氏がこの地に足場を設けて百草を試し、医薬の基礎を築いたとされています。
 また、神農架と言えば「野人」の風説が有名です。「野人」とは直立して歩行する大型の霊長類のようで、地元ではよく目撃情報があり、過去に大規模な学術調査を行ったものの、未だに解明されていません。
 近年、神農架では中医薬産業の発展に力を入れており、天麻(テンマ:オニノヤガラの根茎で頭痛やめまいに効果がある)、柴胡(サイコ:セリ科の植物の根で解熱や消炎作用がある)、蒼朮(ソウジュツ:キク科の植物の根茎で利尿・健胃作用がある)、川烏(センウ:トリカブトの根で鎮痛作用や冷えの改善に効果がある)、独活(ドクカツ:ウドの根茎で鎮痛作用や解熱作用がある)などの主要な薬用植物が栽培されています。
 また、中医薬文化を観光や健康産業と融合させる取り組みも進められています。神農架の住民は昔から薬草を食事に取り入れてきたため、独自の薬膳料理が発達しています。現地の200件以上のホテルやレストランでこれらの薬膳料理を味わうことができます。
 神農架は、手つかずの大自然、豊かな生物多様性、薬草と伝説が共存する魅力的な場所です。中医薬に関心のある方や中国の秘境を体験したい方には、ぜひ訪れていただきたいスポットです。