サステナブルツーリズム(持続可能な観光)とはUNWTO(国連世界観光機関)によって「訪問客、業界、環境および訪問客を受け入れるコミュニティのニーズに対応しつつ、現在および将来の経済、社会、環境への影響を十分に考慮する観光」と定義づけられています。旅行先の地域文化と環境の保全を第一に考えて、 観光客が一方的に旅行先のコンテンツを消費するだけでなく、そこに住む地域の人々の生活も豊かになるように考えられた旅をすることです。地域住民、観光客、観光業に携わる人がいずれも満たされることを目指します。
人々の生活が豊かになり観光旅行が大衆に広まったことで、リゾート開発による自然破壊や、ごみの問題が発生しました。また、多くの観光客が殺到するオーバーツーリズムによって地域住民の暮らしに影響が出るようになりました。こういった問題に対応するため、サステナブルツーリズムが提唱されるようになりました。ポストコロナ時代を迎えて旅行需要が本格化する中、サステナブルツーリズムが注目されています。
合掌造りで有名な岐阜県の白川村では高速道路の開通などによって旅行者が急増しました。静かな村の住民の生活が脅かされる、環境破壊のリスクがあると考え、冬期に行われるライトアップイベントを予約制としたり、地域住民に配慮して見学時間を限定するなどしてきました。また、合掌造りの屋根を作るための「茅刈り」を観光に組み込むなど、観光客が地域住民に寄り添うことができるような体験を提供する取り組みも行われています。このように地域住民の生活と文化が守られると同時に、観光客も豊かな体験をできることが、持続可能な観光であるサステナブルツーリズムです。