近年、 食事制限なしで痩せられる「GLP-1受容体作動薬」によるダイエット治療が登場しました。GLP-1受容体作動薬は膵臓に作用してインスリンの分泌を促し、血糖値を上がりにくくし、胃や消化管の動きを遅くし、さらに脳に働きかけて食欲を抑える効果があります。元々は糖尿病の治療薬として開発されたものです。 肥満が深刻な社会問題となっているアメリカでは、電気自動車テスラ社CEOのイーロン・マスク氏をはじめとする著名人らがこのような薬で痩せたことを公表して、大ブームになっています。日本ではこれまで糖尿病治療のGLP-1受容体作動薬はありましたが、昨年、肥満症を適応とした薬が承認されたことで注目を集めています。
GLP-1受容体作動薬を保険適用で処方してもらうには、医療機関で肥満症と診断されていて、治療のために薬が必要であると医師が判断することが必要です。また、吐き気や胃腸の不調などの副作用があることも報告されています。
一部では自由診療で病気や肥満でない、いわゆるダイエット目的の人にも高額で糖尿病治療のためのGLP-1受容体作動薬が処方されているようです。痩せる薬としての需要が増大したため、本当に必要な糖尿病の患者さんが薬を手に入れにくい状況にまで発展し、厚生労働省から医療機関に薬の確保のための協力要請が出されています。
GLP-1受容体作動薬を用いたダイエットには検討すべき課題が多いようです。