日本人の平均寿命は84.3歳と世界最長ですが、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる健康寿命は74歳にとどまり、平均寿命より10年も短くなっています。生きている限り、健康でいたいと誰もが願っていることでしょう。
世界の食と健康の関係を研究している武庫川女子大学国際健康開発研究所長の家森幸男先生の調査によると、長寿・短命に大きな影響を与える食品は「塩」「大豆」「魚」「ヨーグルト」であることがわかりました。塩を多く食べる地域の人は高血圧や心臓病などにより短命で、大豆、魚、ヨーグルトを多く食べる地域の人は寿命が長い傾向にあるそうです。
①塩 :摂り過ぎは高血圧や心臓病の原因となり、特に塩と脂肪を一緒に摂ると脂肪の吸収が高まり、動脈硬化などの原因になる。
②大豆:イソフラボンの働きで、一酸化窒素が作られ、血管が拡張し、血液もサラサラになって血栓ができにくくなる。
③魚 :魚介類にはアミノ酸の一種のタウリンが多く含まれる。タウリンにはストレスや血圧を下げる効果や胆汁を増やしてコレステロールや脂肪の排出を促す効果がある。
④ヨーグルト:カリウム、マグネシウム、カルシウムが含まれ、塩の害を抑えて、腸の働きを助け、免疫力を高める。
和食において大豆や魚は馴染み深い食材です。大豆や魚をよく食べることが日本人の平均寿命が長い原因の一つと考えられます。
一方で、和食は塩分が多くなりがちという難点があります。日本人の塩分摂取量は昔に比べて減ったとは言え、1日あたり男性10.9g、女性9.3gで、WHOの目標値5gと比べると多いことがわかります。和食を中心とした食事をする一方で、減塩を心がけたりヨーグルトを摂ったりして健康を意識した食生活を送りたいものですね。
参考:「80台現役医師夫婦の賢食術」家森幸男著(文春新書)