抗酸化作用とは老化や病気の原因となる活性酸素から体を守る働きのことです。活性酸素は微量であれば人体に有用な働きをしますが、大量に生成されると過酸化脂質を作り出し、動脈硬化・がん・老化・免疫機能の低下などを引き起こします。
抗酸化作用のある食品についてはこれまでにも紹介してきましたが、代表的な食品としてはポリフェノールを多く含むブルーベリー、大豆、赤ワインや、ビタミンCを多く含む緑黄色野菜や果物があります。
食品の抗酸化作用については、調理科学の分野でも様々な研究が行われています。
野菜を切ったりすりつぶしたりするとポリフェノールを酸化させるポリフェノールオキシダーゼ(PPO)の作用によってポリフェノールが減少するので、活性酸素を消去する作用も減少します。野菜や果物を調理したり生食したりする場合、抗酸化性成分を減少させないためには、切った後に長く放置して空気に触れさせないように気を付ける必要があります。
野菜は加熱されるとPPOが失活するため、抗酸化性の減少を抑制することができます。生野菜では減少しがちな抗酸化成分は加熱することで保持することができるわけです。
ゆで加熱や煮込み加熱では、抗酸化性成分がゆで汁や煮込み汁に流出します。特に加熱時間の長い煮込み料理では抗酸化成分の流出が著しくなります。一方、電子レンジ加熱では抗酸化性成分の流出が起こらないので、野菜の抗酸化性を保持する上では電子レンジ加熱は有効な加熱法であると考えられます。また、ゆで加熱の場合でも、野菜のゆで汁も合わせて摂取できる料理(スープ,シチュー,みそ汁,鍋物など)であれば野菜から流出した抗酸化成分を一緒に摂ることができます。